液体愛好者の渡独

とりあえずせっかく海外に行ってきたのですから、備忘録的にいろいろ書いてみました。
ただ僕の場合、向こうに住んでいる従弟のところに招かれて、居候させてもらって毎日ふらふらしていただけなので、たいしたことは書けないですけど。
それと単なる観光客なので、見ている範囲が狭いのは否めないうえ、事実誤認等もあるやも知れません。そのへんは広い心で見逃していただけると幸いです。




・滞在先

行ったのはドイツのフランクフルトです。フランクフルトという都市は旧東ドイツにもあるため、それと区別するためにフランクフルト・アム・マインと呼ぶそうですが(ちなみに旧東ドイツのほうはフランクフルト・アン・デア・オーダー)。
その郊外に僕の従弟が住んでいて、彼の家の別棟の一室に住まわせてもらってました。部屋はそこそこ広くて、テレビもネット環境もありましたし、そのうえ駅からもそこそこ近かったんで、とても住みやすい環境でした。
フランクフルトは国際的な金融都市なんで、中央部には高層ビルが林立していて未来的な感じなんですが、ちょっとそこを離れると豊かな森や古い木組みの家があったりして、そのコントラストが面白い街でしたね。
滞在中は最初の3日間だけ、従弟が休みを取っていろいろ案内してくれ、交通機関の乗り方や入場券の購入の仕方、その他諸々のことをレクチャーしてくれました。
あとはほとんど自分で好き勝手に出歩いてました。と言ってもさすがにろくにドイツ語もしゃべれないまま遠出する度胸はなかったので、行動範囲はほとんどUバーン(地下鉄)で行ける所に限られていましたけど。


・気候

日本と比べるとだいぶ寒かったですね。日中もあまり気温が上がらないので、常に厚着して街を歩いていました。
あと日照時間が短く、かなり早い時間から薄暗くなりますね。冬は鬱になる人が増加すると聞きましたが、そりゃそうだろうと思いました。
日本と決定的に違うのは湿度です。雨は結構降るんですが、湿度が非常に低くて過ごしやすいです。体がべとつくこともないので、風呂は2、3日に一度くらいしか入らなくても済むくらいでした。逆に日本のように毎日風呂に入っていたら、かえって皮膚が油分を失ってがさがさになりそうでしたし。
夏は35度を越えることもあるそうなんですが、湿度が低いのでたいして苦にならないということです。だから普通の家には冷房設備はまずないとか。


・ドイツ人

ドイツ人は厳格で堅苦しいというイメージを持っておられる方も多いでしょうが、実際接してみるとかなり優しくて親切な人が多かったですね。
ちょっと困っていると声をかけてくれる人も多かったですし、そういう点は日本とはちょっと違っていて、素朴な面が多く残っているなと感じました。


英語は基本的に通じますね。なんでも大陸ヨーロッパではオランダに次いで英語が通じる国だということで、お年寄りとイスラム系移民の一部を除いては、話せると考えても問題なさそうです。最初は分からないと言っている人も、こちらが英語で押し通すと何とか英語をしゃべってくれますし。
ただこちらの英語力も相当あやしかったんで、スムーズな意思疎通はなかなかできなかったのが残念でしたが。電子辞書がなかったらやばかったかもしれません。
でもこちらが英語に不慣れだとわかると、ゆっくりしゃべってくれたりするので、字幕なしで映画を見るのよりはよっぽど聞き取りやすかったです。
ただし町中の表記は一部の例外を除いてほぼドイツ語でした。これにはちょっと苦労しましたが、まあなんとかなりましたね。


それとドイツ人は基本的に大きいですね。男性の平均身長は185cmということで、僕なんか子供みたいでした。しかもマッチョ多いし。
女性も僕と同じくらいの身長の人が普通でした。またドイツ人女性は確かに顔立ちは整っているんですけど、今ひとつ垢抜けないというか質実剛健というか、ちょっとアマゾネス的な感じの人が多い印象です。
たまに可愛いと思える女性がいると、それはたいていフランス人か東欧系の人なんですよね。まあ人の好みはそれぞれなんでしょうけど。
ただドイツ人の子供はめちゃめちゃ可愛いですね。よくルネサンスの頃の絵画なんかで描かれている天使がいるじゃないですか。あのレベルの可愛らしさの子をかなりの確率で見かけましたよ。
それと女性で思い出しましたけど、レディファーストは基本中の基本です。これができない人は野蛮人と看做されると考えて間違いないということです。また女性が重そうな荷物を持っているときは、お手伝いするのもマナーだそうです。
日本ではそういう習慣がないので、これには気を遣いました。幸い前もって従弟に言われていたので、顰蹙を買う場面はなかったのですけど。


あと日本人だからということで差別されたり、嫌な思いをした経験はなかったですね。むしろこちらが日本人だと分かると、より好意的に接してくれる人も多かったです。親日家が予想以上に多い印象を受けました。
また従弟の言うことによると、ドイツは人権教育が徹底しているので、内心はとにかくあからさまに差別的な態度を見せる人は逆に軽蔑されるそうです。そういう点は見習うべきでしょうね。


・治安

ベルリンなんかは貧富の差が激しいのであまり良くない、という話は聞いたことがありますが、フランクフルトではあまり感じなかったですね。
一応従弟からは、夜になるとジャンキーや酔っ払いもいるから、中央駅付近には行かないように言われていましたけど。
まあどこにだって危険なところはありますし、変な事件がたまに起きるのは日本だってそうですしね。
でも日本より安全ってことはないわけですから、自分のみは自分で守るという心がけは必要になるでしょう。


あと一度欧州中央銀行を囲んで、格差反対デモが行われていたのも目撃していますが、大変整然としている印象で、暴動等につながりそうな雰囲気は感じられませんでした。
向こうの経済事情は正直よく分かりませんが、とりあえずまだ切羽詰った感じではなかったのではないでしょうか。今後のギリシャの行方しだいではどう変化するか読めませんけど。


・観光

フランクフルトではいろいろ見て回っていました。主だったところを挙げてみます。


 ・シュテーデル美術館、シルン美術館 … ボッティチェリデューラーレンブラントセザンヌピカソあたりの絵が展示されていました。
 ・ドイツ映画博物館 … 19世紀の映写機の映像や、空飛ぶ絨毯に乗ってフランクフルトの上空を飛ぶアトラクションなんかは面白かったです。
 ・ゲーテ博物館 … ドイツ語が読めないので、何がなんだかさっぱり分からなかったんですが、とりあえずゲーテの生家を見ることはできました。
 ・ゼンケンベルク自然史博物館 … 恐竜の骨格や古生物の化石、動物の剥製がたくさんあって、とても楽しい場所でした。子供がすごく多かったのも印象的。
 ・フランクフルト動物園 … 夜行性動物館とか、オットセイやペンギン、魚や昆虫、爬虫類などを自然に近い環境で展示している館がとても興味深くて、何度見ても飽きなかったですね。
 ・バルメンガルテン … 巨大な植物園。熱帯雨林や岩石庭園、でかい滝まであって、かなり壮観でした。


結局動物園や博物館には何回か行きました。基本的にそういうところが好きなんでしょうね。
他にも市内のそれらしい建物(旧オペラ座とか大聖堂とか)は、一応見て回りました。日本とはまったく違う佇まいのせいか、何の目的もなくぷらぷらと歩いているだけでも楽しかったですよ。


・食

基本的にドイツ料理ってあまり評判良くないです。
確かに豚肉とかジャガイモとかヴルスト(ソーセージ)とか、美味しいものも結構あるんですが、基本塩で焼いたり茹でたりするだけなので、単調ですぐ飽きてしまうんですね。
それとザウアークラウト(キャベツの酢漬け)とかイワシの酢漬けとか、やたらと酸っぱいものが多い印象。他国からの輸入に頼らない文化なので、必然的に保存食が多くなるからなんだそうですけど、僕は酸っぱいものが苦手なのでいろいろと困りました。
でも従弟に言わせると、イギリスやポーランドに比べるとずっと美味しいんだとか。その2つの国はどれだけひどいんだww


あとドイツは3食のうち暖かいものを食べるのは昼だけで、朝はパンとゆで卵とハムもしくはサラミ、晩はパンにチーズを乗せるだけという質素なメニューが普通です。
まあ確かに晩は食べたらあとは寝るだけなんで、そのほうが合理的なんでしょうが、日本ではずっと晩にたくさん食べてきたわけですから、最初はちょっと調子が狂いました。
それでも休日は時々従弟がレストランなんかに連れてってくれたので、それなりにちゃんとした晩御飯にもありつけましたけど。


ちなみにドイツでは外食が高いです。多分税金がかかるからなんでしょうけど、結構な額を取られましたね。
その代わりと言ってはなんですが、料理の量は半端なく多いです。シュニッツェル(薄い子牛のカツレツ)を注文したところ、巨大な草履のようなカツが出てきて仰天したこともあります。
注文したものを残すのはマナー違反だといわれたので、必死になって食べたんですけど、あの時は死ぬかと思いました。
あとドイツのレストランは、支払い方法が日本と全然違います。まずレジがありません。
ならどうやって支払うのかというと、ボーイさんを呼んでその人に支払うのです。しかしボーイさんなら誰でもいいわけではなく、各テーブルごとに担当が決まっているらしくて、その人でないと受け付けてくれないようなんですね。またボーイさんを大声で呼ぶのもマナー違反ということで、人差し指を立てて担当のボーイさんの顔をじっと見るという面倒くさいやり方で呼ばなくてはなりません。
タイミングが難しそうなうえ、ドイツ語にも英語にも自信がないので、一人でレストランに入ることは結局なかったですね。


一人で出歩いているときは、もっぱら立ち食い屋台みたいなところを利用していました。欲しいものを指差して英語で「Please」と言うだけでもなんとかなるんで。
メニューはソーセージをパンに挟んだものが一番多かったんですが、他にもソーセージにカレーソースをかけたカリーヴルストや、長方形の一人前サイズに切られたピザ、トルコ移民が売っているケバブなんかも食べましたね。
特に最近野菜不足だなと思ったときは、なるべくケバブを食べるようにしていました。僕はトマトが食べられないので「トマトを抜いてくれ」と伝えるのが大変でしたけど。
これらはどれも結構美味しくて(特にソーセージはどこで食べても美味しかった。さすが本場)、量もそれだけでおなかがいっぱいになるくらい多くて、しかも抜群に安上がりということで、滞在中は愛用していました。


市内にはファーストフードもありました。マクドナルドとかピザハットとか。
マクドナルドには一度入ってみましたけど、ドイツならではのメニューというのはなさそうでした。たださすがドイツだけあって、普通にビールが売ってました。僕はすぐ顔が赤くなっちゃうんで飲みませんでしたけど。
あとはハンバーガーは普通でしたけど、ポテトが心なしか塩気が多い感じで、めちゃめちゃ美味しかったのも印象的でしたね。これもさすがドイツと言うべきなのか。


お菓子については、とにかくチョコレートが種類も豊富でしかも美味しいです。チョコ好きの僕にとっては天国でしたね。
板チョコですら日本と違って本当にたくさんの種類のものがあって、それぞれに個性があるんですよね。まあ中には個性的過ぎて口に合わないのもありますけど、それはご愛嬌ということで。
でも聞くところによると、フランスやベルギーのチョコ売り場なんかは、ドイツなんか問題にならないくらいいろいろな種類があるらしいんですけどね。なんか想像するだけですごいな。


お酒はやっぱりビールですね。あまり酒の強いほうではないんですけど、時々飲むビールは美味しく感じました。
各地に地ビールがあって、それぞれ特徴があるみたいです。もうちょっとお酒が飲めれば、そのことについてもいろいろ詳しく書けたんでしょうけど残念です。
白ワインも結構美味しいという話は聞くんですが、僕はワインが飲めないんで試さなかったです。残念(従弟はスパークリングワインを愛飲してました)。
それからアプフェルコルンというリンゴ酒はちょっと飲んだんですけど、思いっきりリンゴの味がしてまあまあ美味しかったですね。
あとドイツではメニューに飲み物の名前と値段だけではなく、必ず分量も記載されています。そして客からののオーダーをグラスで受ける場合には、目盛りの付いたグラスの使用が法律で義務付けられているのです。
当然酒もジュースもすべてこの対象です。ビールに至っては液体と泡の境界も、ちゃんとラインが決められているグラスを使います。泡ばっかりのビールをサービスするのは法律違反ということで、これはすごくドイツっぽい決まりだと思いますね。


日本食が食べたくなったときは、米を買ってきてご飯を炊いて食べたこともありました。イタリア産のコシヒカリという怪しげなものでしたが、安い割に普通に美味しかったです。
スーパーやアジア食材店を回れば、多少割高ではありますが日本の食材もほとんど手に入ります。難しいのは鮮魚くらいでしょうか。
日清のカップヌードル出前一丁などは、海外に工場があるということで安価で手に入れられるので、愛用してました。日本のインスタント食品は偉大ですね。
それとは別に、フランクフルトのラーメン屋に行ったこともあります。抜群に美味しいというわけではありませんでしたが、まあまあ満足な味でしたっけ。


交通機関

従弟の車に乗せてもらうとき以外は、もっばら鉄道を利用していました。Uバーン(地下鉄)とSバーン(市電)、路面電車ですね。
日本と違っていてびっくりするんですが、ドイツの鉄道には改札口がありません。切符を買って持って入るだけです。そして用が終われば自分で捨てます。
だったら無賃乗車なんか簡単にできるのでは、とか思うのですが、ときどき検札がやってきます。しかも逃げられないように一般人を装って複数で来るようです。
実際捕まっている人を見たわけじゃありませんが、見つかると結構高額の罰金を支払わなくてはならないというので、やはり正直に切符は買ったほうがいいのではないでしょうか。
それと扉は自動的に開きません。じゃどうするかというと、当然自分で開けるわけです。日本でも北海道などの北国はそうですけどね。
ボタンを押すか、それともドアの横に付いているレバーを操作するか、どちらかの方式になっていますが、これも知らないとびっくりします。


あとドイツ人といえば時間に正確だと思っている人が多いでしょうが、交通機関は普通に遅れます。
10分は遅れると考えておいたほうが、精神衛生上楽です。それでも近郊鉄道は遅れないことも多いですが、長距離鉄道などではちゃんとくるほうが珍しいレベルだそうです。
ダイヤの正確な日本から来た僕は、最初はあまりにしょっちゅう遅れるのでいらいらしていましたが、3日もすれば慣れてそれが当たり前だと思うようになりましたね。人間の順応性とはすごいものです。


・サッカー

サッカーの試合は2回観に行きました。
まずはブンデスリーガマインツアウクスブルク戦。これは近くのマインツ市まで行ってわざわざ観戦してきたものです。
スタジアムはコファス・アレーナ(ちなみにコファスとはフランスの保険屋の名前らしい)。昨年建設されたばかりのまだ真新しいスタジアムで、なかなか立派なものでした。収容人数は3万2千人ということですが、ほぼぎっしり埋まっていて、野太い声がスタジアムを支配していました。これがヨーロッパのサッカーかとちょっと興奮しましたね。
相手のアウクスブルクには、元浦和レッズ細貝萌がいるので注目していたのですが、浦和での展開力のあるパスは陰を潜め、もっぱら中盤での潰し役を引き受けていたように見えました。
クラブは現在最下位という事情もあるので、守備的な役割を負わされるのは仕方ないんでしょうけど、やっぱり持ち味が出ていないな、という気はしましたね。
試合はアウェーのアウクスブルクが1−0で勝ちました。正直お互いに消極的な姿勢が目立ち、手探りしつつ試合をしている感じでした。
マインツは昨シーズンの躍進が嘘のように低迷しているので、この敗戦でサポーターが怒り出すんじゃないかと心配したんですが、それほどのこともなく無事に帰ることができました。


その翌週には地元で、ブンデス2部のアイントラハト・フランクフルトデュイスブルクの試合を観戦しました。
これはとにかくスタジアムに尽きますね。あのヴァルトシュタディオン(ネーミングライツの関係で正式名称はコメルツ・バンク・アレーナだが、誰もそう呼ぶ人はいない)で試合が見られるんですよ。なでしこJAPANがワールドカップで世界一を勝ち取った*1地です。もうそれだけで興奮しましたから。
女子ワールドカップの決勝に使われただけあって、とても立派なスタジアムでした。5万人以上が収容できる専用スタジアムとか、2部のチームにはもったいないだろうと思ったくらいです。
面白いのはスタジアム内の売店で食べ物等を購入するときは、まずプリペイドカードを購入してそこから払うシステムになっていること。10ユーロで8ユーロ分の買い物ができ、足りなくなればチャージも可能で、帰りに返却すればデポジット代の2ユーロと余った分のお金が戻ってくるという優れたシステムです。これはなかなか便利でしたね。
このカードを使って、フランクフルターヴルスト(要するにフランクフルトソーセージ)をフランスパンではさんだホットドッグ状のものを購入して食べたのですが、これがもうおいしくておいしくて。これも気分が高揚していたからでしょうか。
あとスタジアムは尋常じゃないくらい寒かったのに、お客さんがみんなビールを飲んでいたのには、さすがドイツと半ば感心半ば呆れました。もう好きとか嫌いとかじゃなくて本当に水代わりなんだな。
まあ実際スタジアムで熱々のヴルストにかぶりつきながら飲むビールは最高でしたけどね。これがドイツ滞在中に一番美味しいと思った食べ物かもしれません。
なおスタジアムでビールを買うと、ビールの代金以外にコップの代金も請求されますが、使用後に返却するとコップの代金は戻ってきます。リサイクルとゴミの削減目的らしいのですが、そこはさすがリサイクル大国だと思いました。
試合は2部だけあって多少空席が目立つものの、それでも8割は入っていたでしょうか。2位と十分昇格を狙える位置にいるだけに、サポーターの盛り上がりもなかなかなものでした。
上機嫌なおっさんたちが、僕らが日本人と見ると「カガーワ」などと声を掛けていってくれます。隣にいたおっさんはかなり熱心なサポーターらしく、「お前ら日本人か。タカハラはどうしてる」なんて聞いてきます(「タカハラ」しか聞き取れなくて通訳してもらったけど)。
高原直泰はかつてアイントラハト・フランクフルトに所属して、二桁得点を叩き出したのを思い出しました。まだ覚えてくれている人がいるんだと思って嬉しくなった僕が「彼は日本に帰って、まだ元気でプレーしてる」と(通訳してもらって)言うと、おっさんは満足そうにうなづいて親しげにこっちの肩を叩いてきました。もう気分は最高潮です。


試合は終始フランクフルトのペースで、3-0で圧勝し、スタジアムは爆発的な興奮に包まれます。隣のおっさんも喜んで大はしゃぎしてました。
フランクフルトもデュイスブルクも、選手は誰一人として知らなかった(フランクフルトには5年くらい前にブンデスリーガ得点王になった、ギリシャ人のゲカスがいるけど、怪我でもしたのかこの日はベンチにも入ってなかった)んですが、フランクフルトの10番をつけたホーファーという選手は、この日も2得点を挙げるなど大活躍していて、なかなかいい選手だなと思いました。
あまりにも寒かったせいもあって、試合後はおっさんに別れを告げて早々にスタジアムを後にして電車に乗ったんですが、楽しい雰囲気を味わえて大満足でした。
やっぱりサッカーは生で観るに限ります。いつかはビッグクラブや世界トップクラスの代表チームの試合を生で観戦したいものです。


・音楽

テレビではMTVもありましたけど、普通にアメリカで人気のあるミュージシャンが流れてました。
ドイツのバンドもいくつかありましたけど、知らないのが結構多かったですね。知ってたのはラムシュタインとかそのへんくらいでしょうか。
ただ従弟に聞いたところ、スコーピオンズもハロウィンもクラフトワークもラジオで聞いたことはあるということでしたので、ベテラン勢も忘れられているわけではないようです。
あとドイツと言えばテクノが有名ですが、僕はクラブの類には一切行かなかったので、そのへんは体験することなく終わりました。そこはちょっと心残りですね。


意外なところでは、日本のヴィジュアル系が結構女性に人気があります。
GacktとかDir en greyとか、雅-MIYAVI-とかアンティック-珈琲店-とかが、かなり評価されているのに正直驚きました。
日本でも有名なGacktとかDir en greyはとにかく、他はドイツに来るまで知らなかったくらいですからね。なんでなんだろう。
ドイツ人男性って大柄でマッチョな人が多いから、そういう人が好みじゃない女性は小柄でユニセックスな感じのヴィジュアル系に惹かれるのかも、とも思ったのですが、ドイツ人女性に聞いたわけじゃないんで分かりません。


・テレビ

公共放送とケーブルテレビ、合わせて10チャンネルくらいは見ることが可能でした。
僕はドイツ語が全然分からないのですが、なんとなく見た感じではバラエティ系が少ない印象を持ちましたね。実際従弟は「ドイツのテレビはつまらない」と言ってましたし。
ですからどうしてもスポーツ番組を中心に見ることになりますね。スポーツの中ではサッカーとF1(日本GPも見た)、そして意外にも卓球が人気があるようでした。


あとはJSTVという日本語衛星放送があって、そこで日本の放送を見ることが可能でした。日本よりだいぶ遅れての放送ではありますが、意味の理解できる貴重な番組なわけでして、これは本当に助かりましたね。
僕は『MUSIC JAPAN』や『ブラタモリ』『めちゃイケ』『ケロロ軍曹』『ゲゲゲの鬼太郎』などを観ていました。あとは『ヤッターマン』もなぜか放送してまたしっけ。
なお日本のアニメがドイツのテレビで放送されることも結構あるそうです。ただドイツのアニメのレーティングはかなり厳しいので、テレビではなくDVDで観る人も多いということですが。
ちなみに日本の雑誌やコミックを売っている店も存在します。一応何冊か本を持っては行ったのですが、割と早い時期に全部読み終わってしまったため、その店を教えてもらって愛用していました。


それと深夜0時を越えるといきなりテレビは大人用になり、出会い系のCMなんかが急に増えます。なかには男性同士の出会い系のCMもあったりして、ゲイの権利も保障されているところを感じさせてくれます。
あとは女性がエロいポーズを取っていたり、入浴したりするシーンも増えますね。男女ともにノーカットなのはさすがヨーロッパ、という感じでしょうか。


・エロ

ドイツはエロ大国でもあります。
ヨーロッパに駐留する米国軍人の、人気ナンバーワンがドイツなんですが、理由はやっぱりエロ関係が充実しているかららしいです。
ドイツを代表する風俗にFKKというものがあります。これは半裸もしくは全裸の女の人が20人くらいラウンジとかプールにいて、その誰とでもお金を払えばできるという一種の売春宿ですね。ドイツの大都市にならどこにでもありますし、大きなところならだいたい思いつく欧州系は全部います。
ヨーロッパで売春が違法なのは北欧の一部くらいで、あとは政府が管理もしくは黙認するという方針を採っているわけですが、それにしてもこれだけ大規模なものを営業してしまうというのはさすがドイツ、世界に名だたるエロ大国だけのことはあります。
僕がそこに行ったかどうかは内緒ですが、実際FKK目当てでドイツまで来る日本人もいます。帰国してから知ったんですが、2ちゃんにもFKKスレがありますし。
FKKはとにかくとして、エロ関係に対する意識が日本とは大幅に違うというのは確かですね。なにしろフランクフルト空港内に、思いっきりアダルト・ショップが存在するくらいですから。


ただそんなドイツでも認められていないものがあります。それはロリ。
冗談でも10代前半の子に関心を持つようなそぶりを見せたら、それだけでも社会生命にダメージを負うレベルのようです。日本では鞘師姫とかのたまっている人や、NMBやHKTの中学生の子と握手している僕のような人が普通に大手を振って生きていますが、向こうではとても考えられないことでしょう。ドイツに住んでなくてよかった。
じゃドイツにはロリコンはいないのか、と言われると、それは普通にいるわけで、だから話が面倒くさいんですよね。嫌な話ですが、そういう人は東南アジアに行くんです。向こうのロリコンはこっちのロリコンとは危険度が根本的に違いますから。


・その他

街を歩いていて気づくのは、自動販売機がほとんど見当たらないことと、コンビニがないことでしょうか。
基本的に駅構内かその周辺に飲み物の自販機が置いてあるか、もしくは公衆トイレに避妊具の自販機が置いてあるくらいしか見たことがありません。
コンビニも本当にどこにもないので、喉が渇いたら飲み物を探すのに多少苦労することになります。
だったらドイツでコンビニを開けば商売になるんじゃないかと一瞬思ったんですが、残念ながらドイツには厳しい法律があって、小売店は日曜日には閉めなくてはいけないし、夜も22時以降は営業できないんだとか。
日本から来ると多少不便に感じることもありますけど、考えてみたら夜中に何か買えるというのは本当に必要な需要なのか、と言われればそうでもない気もしますし、こちらのほうが自然という考え方もできるんじゃないかと思います。


それとドイツ人は生活空間での静謐というのを、とても大事にする印象がありますね。
デパートやスーパーなどでもBGMはほとんど鳴っていませんし、電車の車内アナウンスも必要最低限のことしか言いません。
また自宅でも静かにしなくてはいけない時間が決まっているそうで、その間は洗濯機や掃除機を動かすのも控えるなんて話も聞きました。
僕は従弟の家に住まわせてもらっていたので、実際どんな感じなのかはよく分かりませんけど、ドイツ人は物音にはとてつもなく敏感なのは確かなようです。


あとはリサイクル。これは徹底してますね。
たとえばスーパー等で買ったビンやペットボトルは、飲み終えたらスーパーに持っていって返却し、その分お金が返ってくるというデポジット制が取られています。
店によってはペットボトルをつぶす機械が設置してあって、そこで処理してから金券を受け取るというところもありました。面倒っちゃ面倒ですが、郷に入れば郷に従えですから、ちゃんとやってました。
あとゴミの分別も非常に細かくて面倒くさかったですね。僕の住んでいるところはその点かなりゆるいので、さらにそう思いました。すごく苦労しましたね。
これらについてはずいぶん早いうちから教育して、しっかりと意識に根付かせるようになっているようです。このへんはさすがエコ大国だなと感じました。


いろいろあって書ききれないんですが、いい国でしたよ、ドイツは。
労働者の権利もしっかりしているみたいですし、日本人にも馴染みやすい国民性なので、僕もあと25歳くらい若かったら移住を考えたかもしれません。
とにかく忘れられない思い出になりました。招いてくれた従弟、そして向こうで出会った全ての人に感謝。

*1:このときはFIFAが認定した公式パートナー・サプライヤー以外の企業名露出が禁止されていたため、FIFAフラウエン・ヴェルトマイスターシャフト・シュタディオン・フランクフルトという名前に一時的に変更されていた。