今日の一曲

今日は移動中に、いろいろと懐かしい曲を聴いていました。
つーか最近はいつも懐かしい曲ばかり聴いていますけど。もういい歳なんで、新しい音楽にはなかなか食指が伸びなくて(苦笑)


The Flipper's Guitar - GROOVE TUBE


フリッパーズ・ギターが91年にリリースしたシングル。
それまでネオアコユニットだと思われてきた彼らが、突如としてサンプラーを駆使してマンチェスターサウンドを展開。コミカルだけどちょっとエロくて退廃的な歌詞を載せて大きく方向転換した作品。
それまでの颯爽とした爽やかさとは打って変わって、ふにゃふにゃしたサイケデリックな仕上がりになっていますが、同時代の英国のロックを強く意識したと思しき音世界は、個人的には大好物でした。
この曲の入っているアルバム『DOCTOR HEAD'S WORLD TOWER - ヘッド博士の世界塔』は、日本の音楽史上に残る名盤だと思っています。


Pizzicato Five - 悲しい歌


ピチカート・ファイブが95年にリリースしたシングル。
結構アッパーで明るい曲調なのに、とんでもなく切なく悲しい歌詞が載っていて、聴いていると涙が思わず出てきて困っちゃったりするんですが。
誰かとの終わりを決めるときって、本当にこんな感じだよなあ、って思います。何か確固たる意志があるわけじゃないんだけど、そう感じてしまったらもうそれは動かせない現実になる、ということを何度も体験してきましたから。
それはそれとしてこの曲は、シングル『ベイビィ・ポータブル・ロック』のc/wとして収められている、弦楽四重奏バージョンも強くお薦めします。
あと和田アキ子のカバーもあるんですけど、これはハマり過ぎていて笑いが止まらなくなります。


カヒミ・カリィ - ハミングがきこえる


アニメ『ちびまる子ちゃん』のオープニングテーマとしても使われて有名な曲。
ちなみに作詞はさくらももこ、作曲・編曲はコーネリアスこと小山田圭吾です。
この曲はカヒミ・カリィの囁くような歌声もいいんですが、間奏のストリングスの軽やかな音色が素晴らしいです。
ジャズっぽい上品な雰囲気と、ウィスパーボイスが融合した名曲だと思っています。


このへんは当時、「渋谷系」として一括りにされていました。
フリッパーズ・ギターやピチカート・ファイブ、オリジナル・ラブあたりの定番から、Mr.Childrenスピッツなどの後にメインストリームになるバンド、EL-MALO暴力温泉芸者のような裏っぽいユニット、後にPerfumeで一世を風靡する中田ヤスタカのいるcapsuleなど、さまざまなミュージシャンがそう呼ばれていた記憶があります。
僕はこの手の音は好きでよく聴いていましたけど、「渋谷系」という言葉自体は大嫌いで、自分の好きなミュージシャンがそれにカテゴライズされることも嫌がってましたね。
今になって考えてみると、自分の好きな音楽が、オシャレなアイテムとしてのみ評価されているような感じが嫌だったんでしょうね。
だとしたら僕も若かったなあ、って思います。今は自分が好きな作品について、他人がどう評価しようと別に気にしなくなりましたもの。
当時だったらそうはいかなかったと思います。若い頃は自分の好きなものは、絶対的に優れているものと思いがちですから。
それは過剰で無駄な自意識によって引き起こされる錯誤なんですが、歳を取るとそういうものからは自然と解放されることが多いですね。
そう考えると、歳を取るのもあながち悪くないのかもしれません。