今日の一曲

今日ゲイリー・ムーアが10日ほど前に亡くなっていたことを知り、ビックリしました。
と言っても今の人はあんまり知らないかとは思いますが、昔ギターの速弾きで有名だったミュージシャンです。
僕より前の世代だとジェフ・ベックリッチー・ブラックモア、後の世代だとイングウェイ・マルムスティーンとかになるんでしょうけど、僕の世代で速弾きというとエドワード・ヴァン・ヘイレンか彼でしたから。
といっても彼は速いだけのギタリストではなく、ブルースをルーツとする哀愁味あるプレイを持ち味としていた、玄人受けするタイプのギタリストでもありました。
特にソロになってからは、渋いヴォーカルも聞かせてくれるなど、ハードロックとブルースの中間点にある存在として人気を博していました。


Thin Lizzy - Waiting For An Alibi


ゲイリーがアイルランドのハードロック・バンド、シン・リジィに在籍していたときの代表曲。
ゲイリーとスコット・ゴーハムのツイン・リードギターが大変カッコよく、当時中学生だった僕は結構ヘビーローテーション(当時そんな言葉はなかったけど)してました。
当時このラインナップで来日もするはずだったんですが、ドラッグが蔓延するバンドの状況にゲイリーが愛想を尽かして抜けてしまったため実現せず、バンドはウルトラヴォックスのミッジ・ユーロとマンフレッド・マンズ・アース・バンドのデイヴ・フレットを補充して来日しました。30年も前のことなのに昨日のことのように詳細を思い出せるのがなんか嫌ですが。
シン・リジィは解散後30年近く経つ現在でも、「アイルランドの英雄」として讃えられるバンドで、そのケルト・ミュージックを取り入れた哀愁のメロディと、ギブソンレスポールによる必殺のツイン・リード・スタイル、そして物語を紡ぐように歌われる中心人物の故フィル・ライノットのヴォーカルが特徴です。
またフィルはU2などのアイルランド出身の若手ミュージシャンを発掘して世に送り出す(そのへんも英雄と言われる所以)など、アイルランドの音楽界の重鎮としても知られていました。
ただ先にも書いたようにメンバーのドラッグ問題がひどく、特にフィルは悪い意味で70年代の典型的なロック・ミュージシャンだったせいもあり、だんだん活動も低迷するようになってきて、1984年ついに解散。2年後にフィルは亡くなってしまったため、もう生で見ることのできない幻のバンドです。
実はスコットが現在もシン・リジィを名乗ってバンドをやってはいるんですけど、フィルのいないシン・リジィとかあり得ないですから。
ゲイリーはそのバンドのことを「ジミ・ヘンドリックスのいないジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスみたいなものだ」と言ってましたが、まさにその通り。


Gary Moore - Over The Hills And Far Away


ソロになってからの代表曲。邦題は『望郷の果て』。
これは当時彼が来日して『夜のヒットスタジオ』に出演したときの映像です。当時僕も観た記憶がありますね。
リズミカルで力強いドラム、哀愁漂うギター、スケールが大きく壮大さを感じるメロディと、ゲイリーの魅力が凝縮された名曲です。
瞬間的に煌くようなギターソロがまた絶品。


Gary Moore - Out In The Fields


盟友フィル・ライノットとの共演曲。
非常にポップなメロディーと疾走感を持った曲で、いろんなバンドにパクられたりもしています。そのくらい名曲。
今聴くとアレンジに古さは感じますが、ゲイリーのギターソロはやはり質が高いです。ただ速く弾くだけの後進の連中に爪の垢でも煎じて飲んでもらいたいくらい。
あの世でも仲良く二人で共演してもらいたいなあ。


それにしてもミュージシャンとプロレスラーは本当によく死にますね。なんかしょっちゅう追悼記事を書いている気がします。
ゲイリーもまだ50代後半だったということで、あまりにも早すぎる死なのですが。
とにかくご冥福をお祈り致します。