今日の音楽

31日から2日の深夜、NHK衛星第2で『黄金の洋楽ライブ』なる放送を見ていました。
シン・リジィゲイリー・ムーアグランド・ファンク・レイルロードジェネシス、スーパートランプという、70年代から80年代に洋楽を聴いていた人にとってはなんとも懐かしく、それ以外の人にとってはなんだそりゃという感じの面々をたっぷり堪能できたんですが、その中で一つだけ場違いに現在でもメジャーな人たちが混じってました。ペット・ショップ・ボーイズです。
ペット・ショップ・ボーイズといえば、ミュージシャンで雑誌の記者であったニール・テナントと学生だったクリス・ロウの2人によって結成された英国のポップ・ユニットで、これまで数々のヒット曲を出し、今でも多少勢いは衰えたもののバリバリの現役ミュージシャンです。
実は彼らのライブは観たことも聴いたこともなかったんで、非常に興味深く見せてもらうとともに、そのポップな名曲の数々に感嘆しました。その中でいくつかご紹介。


Pet Shop Boys - It's A Sin

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昔僕は彼らのことを、単なるポップスと誤解して敬遠していたんですが、その迷妄を払ったのがこの曲でした。
デレク・ジャーマン(彼らとは親交が深かった)が監督したこの曲のPVは、ニールが体験した宗教的経験が元になっているといい、荘厳かつ神秘的なオーラを放つ内容となっており、それだけでも目を引いたんですが、それよれもなによりも曲が良い。
オープニングのオーケストラヒットで緊張感を醸し出しながら、哀愁のメロディを奏でてサビへとなだれ込み動→静→動と展開していく流れに、当時かなりしびれてしまいました。


Pet Shop Boys - West End Girls

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80年代を代表する曲であり、彼らの出世作
アメリカやカナダ、アイルランドニュージーランドなど、英語が公用語の他の国々でも軒並み No.1を記録。全世界で1,500万枚を売り上げたというメガ・ヒット曲です。
哀愁あふれる歌メロとラップが絡むクールな構成の曲で、しつこいメロディではないのに、じっくり聴かせる事のできる不思議な雰囲気を持っています。


ペット・ショップ・ボーイズの特徴は、良質なカヴァーも多いことです。


Pet Shop Boys - Go West

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懐かしいヴィレッジ・ピープルのカヴァー。
日本人の好み直撃のコード進行&爽快感の中にある泣きメロに乗せて、「全て捨てて西にあるゲイの国へ行こうぜ」という狂った歌詞が展開する素晴らしい曲です。ワールドカップ日本代表のテーマとして、メロディーだけは聴いたことのある人もいるのではないでしょうか。
社会主義リアリズム的な表現を取り入れ、直前に集結した東西冷戦とソビエト連邦全体主義を皮肉ったPVも秀逸です。


Pet Shop Boys - Always On My Mind

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エルヴィス・プレスリーのカヴァー。
原曲はそれほどヒットしなかった(ウイリー・ネルソンのカヴァーした方が売れたくらい)んですが、これは当時爆発的に売れました。
クールでメロディアス、それでいて哀愁を帯びた名曲です。


Pet Shop Boys - Where The Streets Have No Name (I Can't Take My Eyes Off You)

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U2のシリアスな歌詞の名曲「Where the streets have no name」をHi-NRG調にした上で、ボーイズ・タウン・ギャングで有名な「君の瞳に恋してる」とメドレーにしておバカなダンス・ミュージックに変えてしまうという暴挙を敢行した曲。どう聴いてもU2への悪意が漲っていて、とにかく笑えます。また日本では邦題も「君の瞳に恋してる(平成バージョン)」となっており、完全にU2無視状態でした。
当然このカヴァーを聴いたU2側は激怒して、別の曲で彼らへの抗議を表明したりしていましたが、現在は和解しているそうです。


世界での人気ぶりに比べて、日本では今ひとつ人気が盛り上がらず評価もそれなりで、その落差が不思議なんですが、創造性とポピュラリティのバランスが見事に取れたミュージシャンとして、個人的にはもう一度聴き込んでみたいと思っています。