お気に入り

お気に入りPart.9ですが、突然ロックから離れます。
今回はなぜかヴィレッジ・ピープルです。40代以上には懐かしいかもしれません。


ヴィレッジ・ピープルというのは70年代後半から80年代前半にかけて、ディスコソングを中心に世界的なヒット曲を次々生み出して、一世を風靡したポップス・グループです。
彼らの特徴は最初からゲイ・マーケットをターゲットにして売り出されたことで、メンバーそれぞれが、ゲイ受けを狙ったアメリカの職業等のコスプレ(ポリスマン、GI、カウボーイ、道路工事人、バイカー、インディアン)をしています。
ただ肝心のゲイには「ゲイ・カルチャーをパロディにしている」とあまり評判は良くなく、そのため一般層をターゲットにシフトすると、そのポップな音楽性と彼らの奇抜な衣装とキャラクターもあってか、たちまち大成功を収めました。
彼らはリード・ヴォーカルの人以外は全員本物のゲイだったらしいのですが、そのへんの真偽のほどは定かではありません。公的にそれをカミングアウトしているのは初代カウボーイのランディ・ジョーンズのみで、彼はのちに雑誌のインタビューで、オリジナル・メンバーのあいだで互いの性的指向について話をしたことはなく、自分以外にゲイだと断言できるメンバーは、メジャー・ゲイ雑誌の取材に自分と共に応えたことのあるフェリペ・ローズ(インディアンの人)だけだ、と語っています。
音楽的には「アッパーなホーンセクション」「うなるようなファンキーベース」「ノリ重視のクラップ・ハンズ」という、当時のディスコソングの三種の神器をきっちり備えていて、なかなか手堅い作りのダンスミュージックになっています。基本的にノリが勇壮で、テンションが自然と上がってくるのがヒットの要因だったのかもしれません。


Village People - Y.M.C.A


全世界で1,000万枚以上シングルを売った、彼らの代表曲です。
何と言っても2004年のASEANで、当時のコリン・パウエル国務長官が、夕食会における「隠し芸大会」で建設現場の作業着とヘルメット姿でメンバーに扮し、この曲を熱唱したというエピソードがあるくらい、人口に膾炙した曲ですから。
ちなみに「Y.M.C.A」というのは本来キリスト教青年会による若者(主に男性)のための宿泊施設のことを指しますが、ユースホステルのような相部屋もあるため「ゲイの巣窟」とされていて、ゲイのハッテン場を指すスラングでもあります。この曲も当然題材をゲイにおいた「ゲイソング」であり、歌詞の中には様々なキーワードが隠されています。
西城秀樹が青春歌謡ポップス曲「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」としてカバーし大ヒットさせたため、日本のファンにも知名度の高い曲です。


Village People - In The Navy


「いい男揃いの海軍へみんなで入隊しよう!」という、別の意味で熱いメッセージに溢れた曲。
この曲もピンク・レディー渋谷哲平(古い)がカバーして、日本のオールドファンにはお馴染みです。
インディアンが軍艦の上で、手旗を振って踊っているという映像がシュールです。


Village People - Go West


ゲイのメッカであるサンフランシスコへの憧れを歌った曲。
ペット・ショップ・ボーイズのカバーで有名な他、サッカーの試合におけるチャントとして世界中で使われており、2006年ワールドカップでは試合終了後に流れました。
とりあえずインディアンの人の踊りがキレありすぎ。
それと道路工事の人の腰のグラインド具合がセクシーww


順調にヒットを飛ばしていたヴィレッジ・ピープルですが、その後ストレートだったリード・ヴォーカルがヴィレッジ・ピープルのゲイ・グループとしてのイメージに嫌気が差して、プロデューサーと衝突して解雇され、それを契機にグループの人気も急降下していきます。
そして1985年に一度解散しますが2年後に再結成され、その後は幾度かのメンバーチェンジを行いつつも世界各国でコンサートを行っています。とりあえずインディアンの人とGIの人は現在も残っているらしいです。また初代バイカーの人は、2001年に肺癌のため逝去しています。


当時は半分面白がって、半分バカにして聴いていた記憶があるんですが、今聴くと一周回ってちょっとカッコいい気もしますね。
キワモノと言っちゃえば確かにそのとおりなんですけど、それだけでは終わらない曲の良さがあって、結構いいです。