今日の一曲

昨夜半一度目覚めたとき、この訃報を知りました。


昨年自ら肺ガンであることを公表していた元ジャパンのベース奏者、ミック・カーンが1月4日、ロンドンの自宅で亡くなったことがオフィシャル・サイトで発表された。52歳だった。


1月4日ロンドン・チェルシーの自宅で家族や縁の人たちに囲まれ息を引き取ったというカーンは、昨年6月に自らがガンであることを発表し、その後、闘病生活を送っていた。


70年代半ばにデヴィッド・シルヴィアン、スティーヴ・ジャンセンらとジャパンを結成。グラムロックを継承した化粧など奇抜なファッションは日本でもアイドル的人気を博し、特にヴィジュアル系ロックにファッション面で大きな影響を与えた。また後期の『孤独な影』や『錻力の太鼓』はロックに史に残る傑作とされている。


カーンのフレットレス・ベースを使用したオリジナリティ溢れるベース・サウンドは、ジャパン解散後もスタジオミュージシャンとして数多くの大物ミュージシャンに愛され、数多くの作品に関わった。また坂本龍一など日本のミュージシャンとの共演も数多く残したことも知られ、ビビアン・スー土屋昌巳佐久間正英屋敷豪太らとユニットThe d.e.pを結成したことでも知られている。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110105-00000004-lisn-musi


ジャパンは70年代後半から80年代前半にかけて活躍した、耽美系の元祖のようなバンドです。
その派手な化粧と端整なルックスから、日本ではアイドルとしての人気が高かったのですが、実はその陰鬱な作風と退廃的な歌詞はアンチ・コマーシャリズムな側面が強く、そのあたりのギャップが面白かったですね。
あとYMO一派の高橋ユキヒロ、坂本龍一矢野顕子らとも一緒に仕事をしていて、そういう面でも日本とゆかりの深い人たちでした。
僕は中学生や高校生の頃に聞いていたんですが、特にミックのフレットレス・ベースには衝撃を受けましたっけ。
自分がベースを弾かないから、詳しいテクニックは分からなかったんですが、とりあえずこんな弾き方しちゃっていいのか、と思いましたから。
なんでも彼はジャパンを結成した当時は、チューバしかプレイ経験がなかったので、完全に独学でこの独自の奏法をマスターしたのだとか。
ただ本人は我流で弾いていたうえ、楽譜も読めないということもあって、長いことコンプレックスを抱いていたというのですから意外です。
また彼は、演奏時に両足爪先立って横歩きするなど、ヴォーカルのデヴィッド・シルヴィアンに勝るとも劣らぬ強烈な存在感を見せつけてもいました。
あと彼はファッションとして眉毛を全部剃り上げていたんですが、僕が初めて見たそういう人も彼だったりします。あれは当時非常に不気味に映りました。
そういうこともあって、個人的には大変強く印象に残っていますね。
ストラングラーズのジャン・ジャック・パーネルと並んで、少年期に大好きだったベーシストです。


Japan - Gentlrman Take Polaroids


邦題は『孤独な影』。
スタイリッシュなビートとシンセサイザーを駆使して、神秘的な匂いを放つ淫靡な音作りがされた曲です。
デヴィッドのぬめっとしたヴォーカルは好き嫌いが分かれるでしょうけど、個人的にはたまらないものがありますね。


Japan - Nightporter


ルキノ・ビスコンティ監督、シャーロット・ランプリング出演の映画『愛の嵐』の原題と同名ですが、関係があるかどうかはわかりません。
あの映画は倒錯した愛とエロスが主題でしたが、こちらは聴くと一発で内省モードになる、静かで落ち着いた曲です。


BBCでも追悼番組をやっていて、それを聴いているうちに(僕のヒアリング能力では半分も聞き取れませんでしたが)実感が湧いてきて、ひどく落ち込んでしまいました。
一時は持ち直したと聞いていたのですが、本当に残念です。
どうか安らかにお眠り下さい。